君の隣




どれくらい、そうしていたんだろう…




夢花の泣き声も聞こえなくなった。



俺も部屋の中に入った。



さすがに12月の夜のベランダは寒かったらしく、体は冷たくなっていた。



隣からは物音1つしなかった。



もう、寝たみたいだ。



時計を見ると
夜中の3時をさしていた。



俺は布団に入った。




目を閉じる。



夢…?


君の顔がうかんでくる。



笑顔なのか

泣いてるのか

分からなかった。



君が

何を考えているのかさえも

わからない。




抱きしめようとすると


腕をすりぬけていく。




まるで…

"奏の存在はいらない"

と、言うように…




"奏の支えなんて意味がない"


と、言われてるようで…



胸が傷んだ。



でも、こんな傷みは

夢花の傷みに比べたら、小さいんだろうな…



ふと、そう思う。




なぁ…


ごめんな…こんな俺で…



夢花の全てを知ってるはずなのに…



全部受け止めたいのに…




無力な俺は

君の傷みも感じてあげられなかった。



また
無理させて泣かせるんじゃないかって、


夢花の傷を
受け止める自信がないんだ…