パパはテーブルの上に温かいココアを3つ並べた。
奏の向かいの席にパパが座った。
あたしはテーブルには行かないでソファーに座ってテレビを見ていた。
『奏くん、いつもありがとうな。
夢花は奏くんがいたから、こんなに元気でいられるんだと思う。
あの頃の夢花は
何も考えられなくて、真っ暗だった。
奏くんはそんな夢花を救ってくれた。
ホントに感謝してるよ』
2人の会話が聞こえた。
パパの言ったコトに
少しだけ胸が痛んだ。
まだ、消えた訳じゃない
悲しみ…
寂しさ…
少しだけ無理をして笑う自分がいるコトには気付いていた。
『そんな…。
俺は夢花の笑ってる顔がいっちょん好きなんすよ。
夢花が悲しむのは見たくないんです。
だけん、俺が笑顔にさせたるって決めたんです』
何の恥ずかしげもなく奏は言った。
ママが死んでから、何度も言ってくれたコト。
あたしの笑顔が好きだと。
だから、あたしは笑うんだ。
奏の為に…笑うんだ。

