『奏…?』
夢ちゃんが不安そうな声で
奏くんの名前を呼んだ。
『夢花は何も心配すんな』
優しい声で奏くんが言うと
夢ちゃんは小さく頷いた。
奏くんはあたしの手を掴んだまま…
何だか、すごく安心した。
『堂本は1人じゃないけん。
俺は、愛とか恋とか、そういうコトでは堂本の気持ちは受け取れねぇ。
でも、友だちとして
いいヤツだと思っとる。
皆、そうだけん。
勝手に孤独になるなや。
お前にはいるが。
お前を大切に想ってくれる人が。
でも、それは俺じゃない』
分かってる…
それは奏くんじゃない…
こんなに好きでたまらない気持ちが泡となって消えていく。
あたしは自分だけが
辛いんだって…苦しいんだって…
そう思い込んでた。
けど
それはあたしの弱さで…
逃げていただけ…
勝手な被害妄想。
奏くんの言葉が
少しだけ心にしみた。
あたしは
掴まれてた腕を自分でほどいた。
『ごめん…ね。
2人のコト、いっぱい困らせたけん…。
もう…
何もせんから。
さよなら…』
あたしはその言葉とともに
この思いを封じ込めた。
2人に背を向けて
あたしは自分の部屋に帰った。

