君の隣




あたしはケーキを食べ終わると、すぐに店を出た。



ヒロは何も言わなかった。



多分、分かってる。


ヒロには全部分かってるんだ。



あたしが誰を見ているかも…



あたしが今、どんな顔をしているのかも…



昔からそうだったから。



ヒロはあたしが辛いときは
黙ってそばにいてくれた。



だから、ヒロの隣は落ち着けたんだと思う。



あたしがヒロを振り返って



『次、どこ行く?』



と聞くと、ヒロは笑顔で



『どこでもつれてっちゃる』



と答えてくれた。



観光スポットと言われる場所は
全てまわった。



ヒロはあたしの気持ちをよんで
笑わせて、楽しませてくれた。




時間になり、ホテルに帰った時には、ヘトヘトだった。



お風呂に入って、疲れをとった。


何もかも、洗い流してほしかった。



汚い感情も全て…



何だか孤独で淋しく感じた。




大広間へ行くと、もう準備がされていた。



今日も奏くんの隣に座った。



距離は近いのに、いちばん遠くに感じた。



あなたを見てきたから分かるんだ。



ほら、またあの笑顔。



その瞳は
夢ちゃんを愛おしそうに見つめるんだ…