その2人は手をつないで幸せそうだった。
『一香ちゃん…ヒロくん』
夢ちゃんがあたしたちに気付いて
名前を呼んだ。
高くてふわふわした声。
すごく綺麗な声だと思うけど
今は聞きたくなかった。
その声で
『奏』
と、呼ぶ。
奏くんもきっと、その声に癒されるんだ。
『堂本とヒロも一緒だったんか』
奏くんが笑ってそう言った。
『おぅ』
のんきにヒロが答えた。
2人で仲が良さそうに座る。
笑いながら一緒にメニューを見てる。
その光景が
遠くの方に見えた気がした。
奏くんは幸せそうだけど
隣にいるのはあたしじゃない。
あたしじゃ、あんなに幸せそうに笑ってくれない。
あたしと、夢ちゃんの何が違うんだろう…
でも…
あたしが夢ちゃんみたいな子になっても
きっと振り向いてはくれない。
奏くんの瞳は
夢ちゃんだけを見てる。
それが痛いほど分かるから
辛い…
苦しい…
切ない…
奏くんに想ってほしい…
あたしの為に笑ってほしい…
2人を見てると
そんな思いが
つのっていくばかりだった。

