君の隣



目の前に広がるのは
青い海。



見慣れた海だけど
今日はなぜか違う気がする。


夢花と俺は
砂浜の階段に腰をおろした。



夢花の母さんが
最後にいた場所。


最後に見た景色。



『寒くないかや?』



『ありがと。大丈夫』



『夢花… 俺の前では無理して笑うなや』



『奏…』



『俺は… 早く夢花に元気になってほしいと思っちょる。


けど、無理はしてほしくない。


夢花が追いつめられて
壊れるのは

もっと嫌だけん。


俺の前では
我慢しなくていいが』



『奏…―』



夢花の目から
涙が溢れ出した。



『それでいいんだが』



俺は夢花を抱きしめた。



俺の胸の中で
夢花はいつまでも泣いていた。


空が薄暗くなってきたころ、
夢花はやっと泣き止んだ。



『あたし、奏がいなかったら
壊れちゃってたと思う。


奏はあたしの太陽だよ。


光を届けてくれる。


奏…ありがとう』



『夢花…。

俺、守るけん… 夢花のコト。


どぎゃんことがあっても
ずっと傍にいる。


好きだ…


夢花しか見えない』



『奏…
あたしもだよ。


奏だけ…

奏しか見えない』



涙をためてそう言った夢花に
そっとキスをした。



ぎこちなくて、幼い。

壊れそうで、淡い。


それでも、確かな気持ち。

決して揺るがないこの想い。



夢花が

好きだ。