君の隣



部活が終わって帰ろうとすると
正門の前で夢花が待っていた。


『夢花!』



『おつかれ』



夢花が笑うと幸せになった。


『もう、帰ったかと思ってたけん
びっくりしたわ』



『うん… ちょっとね』



夢花は何か言いたそうにした。



『ん?どげした?』



『寄りたい所があるの』



その言葉だけで
どこに行きたいかは分かった。


『あぁ。いいよ』


オレンジの景色が
やけに眩しくて
何だか切なくなる。


どうか… 夢花の心も照らして…

俺は夢花の手をギュッと握った。


夢花も俺の手を強く握り返した。


時がたてば夢花の傷は癒えるのだろうか?


けど
この時間が消えてしまうのは
嫌だ。



ずっと

夢花と一緒にいたい…


ずっと

夢花の笑顔を見ていたい…


夢花の手を握っていたい…



海の匂いがしてくる。


夢花は少し不安げな表情で
俺を見た。


俺は夢花の頭をポンっと叩いた。


『大丈夫だけん。俺がおる』


夢花は深く頷くと
また歩き始めた。



風が少しだけ冷たかった。