夏の島根は暑い。
でも、東京よりは爽やかな風が吹く。
『夢…!』
声の先には、二人の人が手をふってる。
“大”
あたしの青春を一緒に過ごした。
一緒にたくさんの思い出を作った。
みいを絶対に幸せにしてね。
“みい”
いつも一番の親友。
本音で語り合って、彼女の前では何でも言えた。
あたしの大切な人の一人。
『奏が、待ってるよ。早く行きな』
あたしは、風を切って走り出した。
大切な人のいる場所へ…
はやく、はやく、会いたい。
潮の香りが懐かしい。
波の音があの日を思い出させる。
『……奏!』
愛しい人の後ろ姿。
ゆっくりと振り返った。
変わらない笑顔を浮かべて、あたしに手招きする。
引き寄せられるように彼の腕の中に飛び込んだ。
その温もりが、愛しくて涙が出る。
涙を拭ってくれる優しい手が今はある。
誰よりも、大切な人。

