君の隣





奏はあたしの光だった。

いつも隣であたしを照らしてくれてた。

別れても、奏があたしの心の中の支えになってた気がする。


たくさん、傷つけたし、傷ついたよ。


けど、自信もって言えるの。

奏に出会えてよかった。

奏と恋してよかった。


今のあたしは奏との思い出でできてるから。


奏はあたしにたくさんの物をくれたから…

だから、今度は奏の番だよ。

幸せにならなくちゃいけないの…


こんなとこで寝てる場合じゃないでしょ…!

目を覚まして…


もう、誰かを失うのは嫌だよ。

これ以上、傷を増やしたくない。

奏を待ってる人がいる…!

奏…!………』





奏への思いが涙となって溢れ出す。




あたしの涙が、奏の頬に伝わった。



その時、ピ、ピ、ピと機械が音を立てた。




途端に看護士さんが叫ぶ。




『先生…!意識が戻ってきました!』





あたしは、フラフラとその場を立ってガラスの向こうに行った。



玲音があたしを支えた。





お医者さんたちはバタバタと動いている。




その瞬間…



あたしはちゃんと見た。



奏の目がゆっくりと、でも確かに開いたんだ。