―夢花side―
島根から帰ってきて、一ヶ月以上がたった。
あたしは正社員としてエリカさんと働いている。
隼希とは、前より会える時間も減った気がする。
お互いが忙しくて、なかなか会えないのが現実だった。
奏とのコトはなるべく思い出さないように、一生懸命仕事した。
今を大事にしなくちゃ…。
未来を大切にしていかなくちゃ…。
そうやって言い聞かせる。
あたしは、もう大人なんだから。
ある日、エリカさんに隼希を紹介してと言われてうちの会社の一階にあるレストランで3人で食事をすることにした。
お昼時だから、結構人が入っている。
でも、社長のエリカさんがいるからあたしたちは一番のVIP席に案内された。
エリカさんは隼希に色々と聞いていた。
隼希は照れ臭そうにしながらも、質問にひとつひとつ丁寧に答えてた。
意外といいコンビでおかしかった。
その時…
『夢花…!』
あたしを呼ぶ声がした。
見ると、玲音が息を切らしながら立っている。
『玲音!?何でここに…』
『受付の人が、夢花の友人だって言ったらここにいるって教えてくれた』
『どうして…?』
『奏が…交通事故にあった。
たまたま東京に来てて、近くの病院に運ばれてる。
意識不明の重体らしい』