『……ダメだよ。あたしは、確かに奏と別れて苦しかった。
けど、後悔してない。
あたしたちは間違ってないよ…。
今は今で前に進めてる気がする』
気付かないうちに、涙が溢れてた。
自分で言ってるのに、胸がズキズキする。
言い聞かせる。
あたしたちは間違ってない、と…
きっと後悔はしない、と…
奏は少し間をおいてから、そっかと呟いた。
『だよな。変なコト言って悪かったが。 夢花…今の相手と幸せにやれよ。
お前が幸せなら俺は頑張れるが』
涙をふきながら、頷いた。
『じゃぁな…また、島根に来いよ』
奏がぐしゃぐしゃ、とあたしの頭を撫でた。
『ありがと…。さよなら…』
奏は右手を挙げた。
あたしに背を向けて、階段をのぼって歩いていく。
心の中でその背中に何度も祈る。
彼が幸せでありますように…
彼と出会うすべての人がいい人でありますように…
神様…どうか…
あたしの願いを叶えてください。
遠くなった背中を見て、あたしは声をあげて泣いた。
大人になっても、あの頃の気持ちはやっぱり忘れられない。

