君の隣






『夢花、毎年ここ来てただろ?』





『やっぱり、バレてたか。じゃぁ手紙も読んだ?』





『あぁ。最後の文が俺へのメッセージに見えたが…』






『そのつもりで書いてた』






奏は少し驚いた顔をして、微笑んだ。





『夢花、ちっとも変わっとらんな。なんか、安心したが』






『奏だって、何も変わんないじゃん』






『やっぱ、俺等、なんも変わってねぇんだが』





奏の真剣な瞳があたしを捉えた。




あたしは逃げるように質問を投げ掛けた。





『奏は…幸せ?』




一番、気になってたコト。



一番、聞きたかったコト。





『幸せって、何? 俺、気付いたが。夢花と別れてからの俺は本当の俺じゃなかった。

自分に嘘ついてた気がする。

俺等、何も変わっとらん。


でも、大人になった。

今なら、もっと上手に夢花を好きになれる自信、あるが』




その言葉ひとつひとつがあたしの心に光を届ける。





『…莉乃は?』





『昨日、別れた。てか、フラれた。多分あいつは俺のために言ったんだと思う』





…別れた。




莉乃はあんなに好きだったのに…

自分の思いを捨てて、好きな人のコトを考えて…




あたしにはできない。




けど、あたしは奏の気持ちには応えられないよ…