それなら…
あたしはこの場所にいる必要はないんじゃないかな…?
その時、莉乃があたしに声をかけた。
『夢ちゃん、久しぶり。こっちの成人式出席したんだね!元気?』
『うん、元気だよ』
…元気だよ。
あたし、奏がいなくてもがんばれてるよ。
奏はあたしをあの頃みたいに、見つめていた。
多分、心配してくれてる。
『あたし、そろそろみいの方に戻るね』
逃げるようにその場を立とうとすると、奏に腕を掴まれた。
莉乃は友達に話しかけられて、あたしたちを見てはいなかった。
奏は耳元で
『明日の朝10時に砂浜で待ってるけん』
と囁いた。
何を話される…?
今のコトとか聞かれるのかな…
奏は隼希とのコト、多分知ってるんだと思う。
噂はすぐに広まるから。
あたしは、そっと頷いて、みいの元に戻った。
式はあっという間に終わった。
振り袖が重くて…疲れる。
このあとの同窓会の為に、あたしはみいの家ですぐに着替えた。
みいに奏とのコトを話すと、みいは当たり前だと言うように、背中を押してくれた。

