君の隣





『懐かしいな。島根に来たの何年ぶりだろ…?』





玲音が遠くを見つめるように呟いた。





『あたしも何年もゆっくり来てなかったから… あの日にだけ日帰りでママに会いに行ってたの。
誰にも内緒で』






『そうだったんだ。夢花はみいの家に泊まるの?』





『うん。久しぶりにね。玲音は、奏の家?』






『奏が来てもいいって言うから、お言葉に甘えて泊まらせてもらう』





『じゃぁ、途中まで一緒に行こっか』





あたしたちは、懐かしい道を歩いた。




あの頃の一秒、一秒の時間が鮮明によみがえってくる。




ここで過ごした時間はあたしの人生の中の大切な大切な瞬間。




あの時の気持ちは忘れたくない。



二人で懐かしい話をしながら歩いた。



別れ道、また成人式でね、と玲音に手をふった。





みいの家の前。



すごく、すごく懐かしい。




ゆっくりとインターホンを押す。


中から階段をすごい勢いで降りてくる音がしてドアがガチャッと開いた。





『……夢!!いらっしゃい』





『みい、お邪魔します』





みいとは東京で会ったりしてたけど、やっぱり久しぶりに感じる。




『夢、あたし嬉しいの。こうやって夢が島根に来てくれるコトが』




みいは本当に嬉しそうな顔でそう言った。




胸が熱くなる。