『夢花が望むことなら、パパは応援するよ。
きっと…ママも喜ぶ』
パパは遠い目でそう言った。
それだけで分かる。
パパはまだママが好きだよね…?
きっと、変わらず愛してるんだよね…?
ママが命を絶ってから、あたしたちは辛くて…苦しくて…
そこにあった幸せは崩れ落ちた。
パパは自分を責めたし
あたしも自分を責めた。
みんなの心がぐちゃぐちゃに傷付いた。
それでも…
ママとパパとあたしで幸せに過ごした日々も確かにそこにあった。
ママは笑ってて…
パパも笑ってた。
そこには愛があった。
パパはどんなママでも愛してた。
ママがいない今でも…
パパの瞳にはママがうつってる。
それはいつまでたっても変わらないんだ。
あたしはパパに頭を下げた。
『パパ…ありがとう。
あと…今まで育ててくれて本当に感謝してるよ。ありがとう』
パパは改まったあたしに少しだけびっくりしてたけど…。
涙声になりながら
『大きくなったな…ホントにいい子に育ってくれた』
そう言った。
その日は初めてパパと2人でお酒を飲んだ。

