あたしはサンダルの前で
立ち尽くしてしまった。
奏が携帯を取り出して
誰かに電話をしている。
その声もどこか遠くに感じる。
空が青かった。
夏の美しい日。
太陽の光はこんなにも強いのに
あたしの心までは照らしてくれなかった。
『夢花!』
パパと奏のパパとママが息をきらしながら走ってきた。
『優奈の靴…!』
パパはサンダルを見て叫んだ。
服のまま、パパは海に入っていった。
『優奈! 優奈!』
ママの名前を何度も叫ぶパパは
何だか小さく見えた。
その姿を見るだけで
ママをずっと変わらず愛していたんだと分かる。
毎日
壊れていくママを見てたのは
あたしだけじゃない。
パパだって同じだった。
パパだって辛くて
どうしたらいいか分からなかったと思う。
それでも
パパはそんなママでも
愛してたんだ。
何だか胸が締め付けられた。

