10分くらいバイクに乗ってた気がする。
隼希が言っていたお店にはすぐに着いた。
おしゃれな雰囲気だけどラフな感じで入りやすいお店。
あたしたちは奥の2人席に通された。
2人が向かい合うように座ってから上着を脱いだ。
『おしゃれなお店だね』
『だろ?俺らももう二十歳だし…たまにはいぃだろ?』
『そっか…もうあたしたち二十歳なんだね』
あたしは誕生日が来月だからまだ二十歳じゃないけど、隼希はもう二十歳だ。
『あぁ…。何か寂しい気もするよな。夢見る時を卒業した感じで』
『だね…。もぅ、大人なんだもんなぁ』
『夢は…成人式は島根の方に出席するの?』
『うん。そうしようと思ってるよ。仲良かった子にも会いたいし』
ずっと、変えれなかった島根に帰ろうと思う。
実際、帰らなかったって言えば嘘になる。
あの日だけは、ママに会いに毎年あの砂浜に行ってた。
花とメッセージをあの場所に残してすぐ帰ってきたけど。
そのコトはみいしか知らない。
隼希にも何も言ってなかった。

