君の隣






『さ、そろそろ仕事に戻りましょうか』





『はい、そうですね。せっかく誘っていただいたのに暗くなってしまってすいませんでした』





『いぃのよ。何かあったらすぐ言いなさい。あたしには話聞いてあげるコトしかできないけど…。

一応、人生の先輩としてね』





『エリカさん…』





あたしは強いエリカさんの後ろ姿を見ながら会社に向かった。




その日は、7時に仕事を終わらした。



携帯を見ると、隼希から着信があった。



あたしは折り返しでかけ直した。




“もしもし?”




『隼希?ごめんね、電話でれなくて』





“大丈夫。あのさ、一緒にご飯でも食べない?”





『いぃよ。今どこ?』





“今は家。いいよ、俺が迎えに行く。今どこ?”





『まだ会社の前だよ』





“分かった。そこにいて、今から向かうから”





『うん、待ってる』





電話を切ってからしばらくするとバイクの音が聞こえてきた。



すぐに分かる。



隼希のバイクだ。



あたしは分かるように手をふった。



隼希はあたしの横にバイクを停めてあたしにヘルメットを被せた。



『どこに食べに行くの?』




バイクにまたがりながら聞くと、隼希はエンジンをかけながら答えた。




『最近見つけたおいしい店。スイーツもあるから夢も気に入ると思う』




バイクが音をたてて走り出す。




『まぢで!?楽しみにしとく』




『おぅ』





それからはバイクの音だけがあたしたちの間に流れ続けた。