君の隣





『…夢ちゃん。ホントに大切だったのね』





『…今、あたしをすごく大切にしてくれる人がいて…。

けど…彼の記憶が強すぎて…

簡単にリセットできなくて。


どうしても、弱くなって…』





『あたしが、夢ちゃんを働かせてあげようと思ったのは…ただ気に入っただけじゃないのよ。


初めて見たとき、あなたの笑顔が心からの笑顔に見えなかったの。

心の暗い部分を隠そうと、必死に笑ってるように見えた。

夢ちゃんは明るいみたいだけど、どこか不安定な感じ。

それが昔のあたしと重なって…放っておけなかった』





エリカさんにはちゃんと全部分かってたんだ。





『…夢ちゃん。忘れられないコトはきっと忘れちゃいけないコトなの。

大切な人との想い出が今の夢ちゃんを作ってくれてる。

その想い出が夢ちゃんを弱くも強くもしてくれる。


大丈夫。

自信もちなさい。

今は前に向かって歩くの。

未来はきっと明るいわ』





自信なんてこれっぽっちもなくて…


暗くて、不安だった。




でもなぜだか…


エリカさんの言葉はあたしの気持ちを軽くしてくれた気がした。