君の隣





胸が痛んだ。



エリカさんは自分の子どもを全てだと言う。


そこには大きな、大きな愛が見えた。




それなら、あたしはママのすべてにはなれなかったんだ…。


ママはあたしを愛していなかった。



複雑な顔をするあたしにエリカさんが問いかけてきた。





『夢ちゃん?どうかしたの?』





『…あたしのお母さんは自殺しました』




何となく、この人には話せるかな、と思った。





『…え?』





『…あたしはママのすべてにはなれませんでした。

中学生のあたしを置いて…死にました』





『…そうだったの』





『ママが死んだとき、あたしには希望がありました。

誰よりも大切で…でも壊れやすくて…儚い。

今のあたしはそれさえも失ってしまいました』





『大切な…人がいたのね』





『はい…。もぅ、苦しくて辛くて…どうしようもなくなって…自分から手を離したんです。

なのに…まだ頭の片隅から消えてくれない気がして…。

あたしの全てでした。

いつも隣にいてくれたのに…』




なんか、涙が出てきた。