君の隣





今日は大学であたしがとってる授業はない。




だから、朝から会社に向かった。



仕事の内容もだんだん理解してきた。



まだ、エリカさんの役にたててるとは思えないけど…




今日は珍しく、会議が1つも入っていないらしい。




だから、エリカさんは社内にずっといた。




お昼の時間、エリカさんがあたしを誘ってくれた。




近くの、高そうなレストランに入った。



エリカさんは携帯を取り出して、あたしに見せた。




『見て、あたしの子ども。かわいいでしょ?』




そこには5歳くらいの女の子が写っていた。




『ぇ…?エリカさん、お子さんいらっしゃるんですか?』





『えぇ。実はシングルマザーよ』




『え…?』





『大学の時ね、両親が死んだの。

事故だったみたい。

あたし、迷惑ばかりかけてたから失った時、あの時こうしてれば、って後悔ばっかして…

その時に、あたしを支えてくれたのがこの子の父親。


25歳の時に、結婚したの。

初めはうまくいってたのよ。

けど、時がたつにつれて旦那は家に帰って来ない日があったり…

あたしも仕事が成功して、忙しくなって…

すれ違ってたの。

ずっと気付かないふりしてたけど…。

それで結局、夫が家を出ていったの。

その2週間後くらいに、妊娠してることが分かった。

その時、もしかしたら戻ってきてくれるかもっていう淡い期待を抱きながら旦那に連絡したの。

そしたら、お金だけが送られてきたわ。

そのうち、この子が産まれて…

あたしの大切な存在になった。


本当は一度、死のうかとも思った。

けど、出来なかったの。

この子が笑うたび、泣くたび、あたしが守らなくちゃいけないって思えた。

この子はあたしの全てなの』