君の隣





ビルの中に入ると、おかえりなさいませとたくさんの人が女の人に頭を下げた。





『あたし、ここの社長なのよ。

篠原エリカ(シノハラエリカ)。よろしくね』




聞いたことある。



ERIKAブランドは世界的にも人気。



大人っぽい服も、ギャル風の服も、上品な服も…幅広い世代から愛されるブランド。





その社長さん…




『あなたは?』




エリカさんは戸惑うあたしに聞いてきた。




『南 夢花です。大学1年です』




『夢花ちゃん?素敵な名前ね。

遠慮なく見ていって。そうねぇ、デザイン課に案内するわ』




エリカさんはそう言ってエレベーターの3階のボタンを押した。





3階につくと、たくさんの人が洋服に向き合いながら、話し合いをしていた。





『服のサンプルを作ったあとにもっと素敵なものを作るために話し合いをしてるの。皆がアイデアを出し合うの』




エリカさんはあたしに丁寧に説明してくれた。




そこには、1つのものを作り出すためのたくさんの人の努力が見えた。




なんだか、すごくいい印象をうけてあたしはしばらく目が離せずにいた。