時は過ぎて
あたしは大学生1年生になっていた。
隼希はいつもあたしのそばにいてくれた。
あたしが道を間違いそうになると優しく連れ戻してくれた。
暖かくて、優しかった。
不安定なあたしを支えててくれたのは隼希だった。
玲音は大学に行かず、お父さんの下で働きながら経営学を学んでるらしい。
みいは幼稚園の先生になりたいと、島根の専門学校へ通っている。
大は建築の仕事につきたくて、今は一生懸命勉強しているらしい。
奏は高校でサッカーをやっている時、チームからの推薦がきて今は地元のサッカーチームでプロを目指して練習していると聞いた。
皆、大人になっていく。
あたしはやりたいコトが見つからず、とりあえず大学に行った感じだ。
隼希は夢だった学校の先生になるためにがんばってる。
あたしは何がしたいんだろうか…?
まだ見つけられない。
就職氷河期のこの時代にあたしを必要としてくれる会社なんてあるだろうか…?
隼希は焦ることないと言ってくれる。
都会のスクランブル交差点。
あたしは、1人
自分の道を見つけられずにいた。

