君の隣






あたしを大切にしてくれる人がいる。



けど


あたしはその人を傷つける。





強くなろうと願っても心が弱くなっていく。




涙を流すたび、募る哀しみ。



涙を流すたび、増える傷痕。




あたしは、人を幸せになんかできない。




だから、自分も幸せにはなれない。




それでも、願いは変わらない。



皆が幸せであればいい。


皆が笑顔でいればいい。



あたしが傷ついてボロボロになったとしても、皆には笑っていてほしい。



散々、傷をつけておいてこんなコトを思うあたしはずるい。






『夢…』




隼希の優しい声がする。



あたしは涙をふいた。





『隼希…ごめんね。帰ろう』




まだ上手に笑えない。



それでも隼希は笑って頷いてくれた。





『うん、帰ろう』




隼希はギュッとあたしの手を握った。






自分だけが弱い、なんて勘違い。

皆、弱いとこを隠しながら生きてる。



あたしだけが甘えて、不幸せなふりをしてた。



どうして


何も気付けなかったんだろう…




あの頃のあたしは未完成なままで幼かった。