君の隣





玲音は優しかった。



でも甘えちゃいけない。



あたしには帰るべき場所がある。



『玲音…帰るね』





『外、雨だぞ…?』





『…あたし、付き合ってる人がいる。ここには…いれない』





玲音の動きが一瞬止まった。



でも、すぐ笑顔になる。




『そっか。はやく言ってくれればいいのに。迎えにきてもらうのか?』





あたしはゆっくり頷いた。




『そっか。気を付けろよ』




『玲音…ありがとね』




『おぅ』





あたしは玲音の部屋を出た。




携帯で隼希に電話をかける




隼希はすぐ出た。




様子がおかしいあたしを心配してすぐ来てくれた。




『夢…、大丈夫か?』




甘えてる…?




そんなの分かってる。




けど、今のあたしは一人じゃどうかなってしまいそう。




『隼希…』




隼希はあたしを優しく抱き締めた。




『寒いだろ…?家、帰ろう。送ってく』





『隼希…。隼希はあたしを1人にしない?置いていかない?

ねぇ、ママはどうして死んだんだろ…』




いきなり重い話。



隼希は困るでしょ…?ごめんね。



でも隼希は言ったんだ。


迷わないではっきり。




『俺は夢を1人にはしない。夢が許す限りそばにいるから』




あたしの目から涙がこぼれた。