お正月が終わったころ、みいが東京に遊びに来た。
あたしが隼希と付き合ったコトはみいには電話で話していた。
『ごめんね、あたしが島根に行かないから…みいにばっかお金かけさせちゃって』
『いぃの、いぃの。それにあたしバイト始めたけん』
『ぇ!?どこで?』
『駅の近くにある唯一のファミレス。覚えちょる?』
『うん、覚えてるよ!そこでバイトしてんだ』
『なんか、自分でお金かせぐのって大変だけどさ。意外と楽しいんだゎこれが』
『あたしも始めよっかなぁ、バイト』
皆、そうやって大人になっていく。
いつまでもパパばかりに頼ってちゃいけないんだ。
あたしはバイトを探してみるコトにした。
『で!?新しい彼氏はどんな人なん?』
みいが話題をもってきた。
『優しくしてくれる。あたしの弱いとこも、全部を受け止めるって言ってくれた』
『迷いはない?』
『完全にないって言えば嘘になる。けど、今は前に進もうと思う。
奏との過去より、隼希との未来を大切にしていけるように』
『そっか。夢、少しだけ強くなった気がする。
実はさ… 奏にも彼女ができたけん』
心に強い風邪が吹いたような気がした。

