眞田隼希―。
整った、涼しい顔に爽やかな笑顔。
サッカーをやっていて、運動神経は抜群。
勉強もできて、成績上位。
優しくて、おもしろい彼はクラスの人気者。
ていうか、学校中の人気者かもしれない。
隼希を好きな人はよく聞く。
けど、隼希には好きな人がいるらしい。
まだ分からないけど…
少しだけ、隼希が気になる。
でも、好きという感情がどんなものなのか思い出せない。
まだ頭の片隅に奏がいる気もする。
あたしの心は…揺れて、揺れて。
結局、行き場を失う。
あたしの心は今誰の中にいる…?
自分のコトでさえも分からなくて…奏のコトはもっと分からない。
なんだか、疲れた。
恋とか、愛とか、今のあたしには向いてないのかもしれない。
自分から傷付きにいくみたいで…少しだけ怖い。
あれほど、大きな気持ちを
知ってしまったから
失ってしまったから
尚更だ。

