暗くなってしまったので、佐伯を途中まで送っていった。
雪はやまない。
俺の体を指先までをも冷やしていく。
『奏くん、ここまででいいよ』
『あぁ、気を付けろよ。雪もやまないけん』
『うん。分かった』
俺はじゃな、と向きを変えて歩き出した。
でも、後ろからまた声が聞こえた。
『奏くん…!』
そして、俺の体に佐伯の腕が巻き付いた。
『佐伯…』
『…あたしはどうしたらいぃが?
奏くんは気づいてるんしょ?
気付いてるくせに…知らないふりせんでよ…』
『佐伯、俺は…』
『夢ちゃんが忘れられんなら、それでいぃが。2番目でも構わんけん…。
ただ、奏くんのそばにいたいが。
こんなの初めてなんだけん』
佐伯の声が震えている。
俺のせいで佐伯が泣いてた。
夢花もよく泣いてた。
でも、強がって…結局俺は夢花を苦しめてたのかもしれない…。
上手に好きになれるかは分からない。
けど、前に進んでみようと思った。
俺は正面から佐伯を見た。
『2番でもいいなんて言うなや。
ごめんな、今まで傷つけてた。
前に進んでみようと思う』
佐伯はたまっていた涙を流した。
『…奏くん。あたしでいぃかや?』
『いいって言ってるが。1回で分かれ』
佐伯はもう一度俺の体に腕を回した。
俺は少しだけ、佐伯の頭を撫でた。

