その日から、佐伯と話すことが増えた。
佐伯は頭がいいから勉強を教えてくれたりもした。
佐伯はいい友だちで相談にものってくれた。
俺はそれに甘えすぎていたのかもしれない。
夏が終わり
秋が来て
寒い冬が来た。
あれから1年か―。
夢花は元気にしてるんだろうか…?
あの日から、夢花とは一度も顔を合わせてない。
島根に帰ってこなくなった。
みいは、長期休みのたびに東京に遊びに行ってるみたいだったけど。
俺は、相変わらずで…
まだ前に進めない。
夢花のいない日々に慣れなきゃいけない。
けど、なかなか慣れない自分がいる。
嬉しいことがあるたびに、この時間を夢花と過ごしたいとか
落ち込むたびに夢花がいたならとか
普段の生活にさえ夢花が欠けてる。
俺の心は君でしか埋められない。
もぅ、君の隣には戻れないなんてコトは分かってるはずなのに。
弱いのは
夢花じゃなくて
俺の方なのかもしれない。
それが自分らしくなくて、情けなく思えた。

