君の隣





しばらく、その場所から離れられなかった。




『奏くん?』




後ろから高い声が聞こえて、俺は後ろを見た。




『佐伯。どげした?』




『あたしは花火大会の帰りで…ってか、奏くんはどげしたの?』




佐伯は俺の隣にちょこんと座った。




『俺は…』




何て言えばいいか分からなくて黙った俺に佐伯が聞いてきた。




『夢ちゃん…?』




佐伯は花束と手紙を見て聞いてきた。




『あぁ』




『別れたって聞いたけど、夢ちゃん帰って来たん?』




『わかんね。これだけ置いてあっただけだが』




『奏くん…泣きそうな顔しとるよ。あたし、話聴くけん』




『……大切だったんだが。誰よりも誰よりも。

なのに、傷つけて…。

一緒にいるとボロボロになって。

それでもあいつがいなきゃダメだったんだが。


どうしようもなく、好きだったんだが』





何で佐伯にこんなこと話してるんだよ?




でも佐伯は俺の話を黙って聞いていた。




『情けねぇよな。好きなやつをシアワセにもしてやれないが』




『情けなくなんてないが。

そんなに人を一途に愛せるなんてかっこよすぎだけん。

あたしは2人のコトよく知らんけど…きっと、夢ちゃんは奏くんからたくさんの物をもらったが。

それは夢ちゃんの中でも消えることはないと思う。

奏くんは人を明るくさしてくれるけん』




ただのお世辞かもしれない。


綺麗事かもしれない。



けど、間違っていないと言ってくれたようで少しだけ心が軽くなった気がした。