―玲音side―
『奏が不幸にならないコトを祈ってる。奏は幸せにならなきゃいけない人だから』
泣きそうな、困ったような顔をして夢花はそう言った。
夢花は見た目以上に弱い。
不安定で、ぐらついてる。
夢花のお母さんのコトを俺は知らない。
けど、夢花の心が弱さがどれだけ大切な人だったのかを物語る。
俺の心の孤独と
夢花の心の孤独は違う。
俺は、そこにいるはずの人に愛されなかった。
でも、夢花は愛されて、愛されて、大切だった人が姿を消した。
その笑顔に隠された哀しみも
孤独も
弱さも
俺には踏み込むことができなかった。
だって
そこでは奏がちゃんと夢花を抱き締めていたから。
夢花の全てを包んでいたから。
俺の出番なんて少しも無かったんだ。
でも、目の前で、弱ってぐらついた心を見せる彼女を見ると、守ってあげたくなった。
“俺じゃ、ダメなのか?”
“俺が奏のかわりになるから”
どれだけ、心で思ってもそんな自信はなくて
その言葉は夢花を傷つけるだけだと分かっていた。

