『ゆーめ!そんな暗い顔してないでよ』
前の席に座る華があたしの顔を覗きこんだ。
『…ぁ、ごめん』
あたしは必死に笑った。
笑うって決めたんだ。
『笑顔、ひきつりすぎだし…。彼氏と別れてもぅ、半年たつんでしょ?』
まだ半年。
声には出さずに、小さく呟いた。
『もぅすぐ夏休みじゃん。島根に帰んないの…?』
『帰れないよ…。奏に会ったらあたしどぅなるか…』
『辛いのは分かるけどさ…。お母さんの命日は…?』
7月31日―
ママが自殺した日。
その日はママに向き合わなきゃいけないと思う。
『分からない』
今はほんとに分からないんだ。
『夢…。無理することはないかもしれないけど、前に進まなきゃ。
一歩ずつでも、未来を自分の手で明るくしていかなきゃ。
命日くらい、お母さんに会いに行きなよ』
華はこれが正しいというように、あたしに言った。
分かってる。
過去を忘れて、未来へ進む。
これが正しい道。
分かってるのに、あたしの心は進んではくれない。
奏と別れたあの日から…?
うぅん、違う。
ママが死んだあの日から―
多分、それからあたしは上手に笑えなくなった。

