『そっか、夢花がいいならいいんだ。俺は何も言わないよ』
玲音は優しく笑った。
『…玲音』
何も言えなかった。
笑顔があまりにも優しすぎて“ありがとう”さえも言えなかった。
『たださ、夢花も奏も2人でいるから生きてた感じがしたんだ。
どぅしようもなく好き合ってて、どぅしても2人じゃなきゃダメみたいに見えたんだ。
誰も入れる隙なんかなくて、2人とも幸せそうだったんだ。
2人にしか分からないのかもしれないけどさ…
俺には夢花は奏の隣にいた時の方が幸せそうに笑ってたように見えるよ…
ごめんね、余計なコト言っちゃったよね』
分からない。
自分の感情さえも分からない。
ただ、玲音の言葉が心を刺すように降り注いだ。
あたしの空っぽの心に何ていう名前の感情なのか分からない…けど、痛くて痛くて泣きそうになった。
辛いとか
苦しいとか
寂しいとか
そんな簡単なモノじゃなくて
光をなくした心が叫んでた。
心はいつだって君を求めてた。
でも、あたしの心には君の欠片さえも残っていない。
“俺には夢花は奏の隣にいた時の方が幸せそうに笑ってたように見えるよ”
玲音はこの選択が間違っていたと言いたいの?
こんなに、こんなに考えたのに。
これでいい、と何度言い聞かせたんだろう?
きっと、あたしの選択は正しくも間違ってもない。
答えなんか、誰も知らないくせに。

