『夢花… さっきの話…』
『聞いてたの?』
『ごめん。盗み聞きのつもりはなかったけん』
奏は言いずらそうに話を切り出した。
あたしは黙って頷いた。
『夢花言っただろ。居場所が無いって。 あれは違う』
奏は強い眼差しでそう言った。
『お前の居場所はちゃんとあるがや』
『どこに…?』
『俺が夢花の居場所になるけん。もう、悩むな』
『奏…』
『夢花が好きだ。 ずっと俺がそばにいてお前の居場所になる。
約束だが』
奏は何のためらいもなく言った。
涙がどうしても溢れてしまった。
奏はあたしの涙をふいて強く抱きしめてくれた。
奏の香りがあたしの中に染み渡っていく。
淡くて、もろい恋が少しだけ光を放った。

