―夢花side―
駅でみいと別れた。
そして、あたしは今空港に着いたところだ。
最後まで、奏を振り回しちゃったな。
あたしは、空港のロビーでも奏を思っていた。
『夢ちゃん…?』
高くて、かわいい声に名前を呼ばれて振り返ると莉乃がいた。
『島根に来てたんだ!東京帰るの?』
『うん、次の便に乗る』
『奏くんに会いに来たんでしょ?』
『それだけじゃないよ。それに、もう終わったの』
『終わったって別れたの?』
『うん。全部あたしがいけない』
『……あたしにとっては、チャンスだけんラッキーだけど、奏くんはそれでいいって言ったん?』
『あたしは、奏に幸せでいてほしいから…』
『そうやって、綺麗事言って…!
奏くんの気持ちは…どぅなるん?
そんなの夢ちゃんの自己満でしかないが!!
自分の気持ちに嘘までついて…!
そんなの優しさじゃないが!
これ以上、奏くんを傷つけんで!』
莉乃の高い声が尖っていた。
ホントに奏が好きなんだな、って思った。
こうやって、好きになれたらよかったのに。
あたしは、自分のことしか考えられない。
他人に吐かれた正論をあたしは聞き流して、ゲートに向かった。
後ろで、莉乃の声が聞こえた気がしたけど気にしなかった。

