―奏side―
夢花の去った砂浜に1人。
波の音だけが俺を励ましてるみたいだった。
夢花は俺の全てだった。
その夢花をなくした俺は脱け殻みたいだ。
夢花の中で、母親の存在は大きくて、母親の死は夢花の心に深い傷を残した。
夢花の母親が死ななければ、俺たちは別れずにすんだんだろうか…?
答えはNOだ。
結局、問題は俺の中にある。
夢花を受け止めてやれなかった、俺に。
“他の誰よりも幸せにならなくちゃいけないの”
夢花の言葉が胸を揺すった。
幸せって何なんだよ…?
俺にとっての幸せは夢花の隣にいることだと思ってた。
けど、もう夢花はいない。
俺にどうやって幸せになれって言うんだよ。
考えても答えは出なかった。
夢花を忘れなきゃいけないと思ったけど、今の俺にはできなさそうにない。
夢花の弱いとこも、全部知ってるつもりでいたのに…
夢花の全てを守りたかったのに…
俺は…何してたんだよ。
結局、哀しい思いをさせた。
涙が出た。
そんな自分がみっともなくて、情けなく感じた。

