『夢花、俺は別れたくないが。
俺にとって夢花は重くなんてないが。俺は夢花じゃなきゃダメなんだが』
『そうやって、優しいから…また寄りかかっちゃうんだよ。あたしは…これ以上奏の未来を壊したくないの』
『夢花は何も分かっとらんが…!』
『分かってないのは、奏だよ。
あの夏、ママが死んであたしの心は暗くなってた。
けど、奏があたしの光になってくれた。
皆が、ママのコトは過去になったと思ったかもしれない。
けど、どんなに奏が光になってくれてもあたしの中でママは過去にはならなかった。
多分、これからもずっと…ママは過去にはならない。
あたしはあの夏で立ち止まってる。
奏と一緒にいたら、歩き出せない』
雪が降ってきた。
どんどん降り積もっていく。
砂浜はもぅ、真っ白になっていく。
最後を惜しむように、降り続ける雪。
無償に切なくなった。
もぅ、後戻りできない時間が…
過ごしてきた日々が…
あたしの心に降り積もる。
そして、それは過去になってく。
それでも、過去になれない思い出が一つ。
あたしの心に深く刺さった。
痛くて、辛くて、苦しくて…
どぅしようもなく、寂しい。
あたしは
やっぱり
弱い。
奏、もういいから。
あたしをおろしていいから。

