君の隣





『奏、あたし奏のまっすぐな瞳が好きだった。

何にも負けない、強い瞳が』






『いきなり、何かや?』






『でも、最近の奏の瞳は揺らいでて、迷ってる。

それは、他の誰でもないあたしのせい。

いちいち、奏に頼ってあたしの弱さを背負わせて…奏までもダメにしようとした。

奏にまで同じ悲しみを与えた。

もぅ、いいよ。

奏にあたしは重すぎたでしょ?

もう離していい…



別れよう』






その一言を口に出した瞬間。


心の中の何かが崩れていった。




今まで積み重ねてきた想い出も全て崩れた。




幸せは、どこにあるんだろう…?



必死で答えを探すけど、結局あなたにたどり着く。





あなたの幸せはあたしの幸せ。




だから




別れよう。




ここには、あなたの幸せは無いから。





『夢花…?何言ってんだよ!?』






『本気だよ。あたしの弱さは奏をダメにする。
あたしは奏の隣にいちゃいけない』






奏が今まで見たことないような哀しい目であたしを見る。




ほら



あたしには奏をそんな顔にすることしかできない。




大好きだった笑顔にはできない。



ホントは、幸せそうに笑っててほしいのに。