―夢花side―
季節は冬を向かえる。
奏に、距離をおこうと告げた夏からもう何ヵ月もたってしまった。
電話をかけようと思ったことは何度もあった。
けど、いざとなるとあたしの手は奏の番号を押せない。
昨日より今日、今日より明日。
どんどんかけずらくなってきて、時間だけが静かに過ぎてしまった。
奏からも電話が来ることはなかった。
奏は多分待っててくれてる。
あたしを信じてくれてると思う。
でも、気持ちがまだついていかない。
奏を幸せにできる自信がない。
あの日から、奏を思わなかった日なんて1日もない。
あたしの中は、今でも奏だけで…
困るくらいに、奏しか見えない。
だからこそ、空回って…
愛しい人を傷つけてしまう。
あたしは、迷ってた。
次の冬休みには島根に帰ろうと思ってる。
ちゃんと、けじめをつけなきゃいけない。
奏に会う心の準備をしなくちゃいけない。