君の隣





俺たちは駅のベンチに座って話した。





みいは俺の話を真剣に聞いてくれた。





『うん、難しい。夢ってさ、まわりの人のコト考えすぎて…結局自分がダメになってくの。強く見えるけど、ホントはすごく不安定で…だけん、奏はほっとけないんしょ?』





『夢花は…母親が死んでからずっと、無理してるみたいで…俺は気づいてたのに気づかんふりしてたんだが。怖かった…。夢花の一番デリケートな部分に踏み込んで、もっとあいつを苦しめるんじゃねぇかって…』





声がうまく出てこない。





『奏は…不器用かもしれんけど…誰よりも夢を好きなのは、痛いほど分かるけん。 それは、ちゃんと夢にも伝わってると思う。2人は大丈夫だが。夢はちゃんと戻ってくる』






『俺は…あいつじゃなきゃダメなんだが。夢花は俺の全てなんだが…』





『分かるよ…。奏の気持ちは。今は夢を信じるしかない…。夢もきっと同じだが』





『みい、サンキューな…』





『あたしは、奏と夢の幸せを願ってるけん』





みいはそう言って、駅を出ていった。