君の隣





『また、すぐ連絡する。だから、少しだけ距離を置かせて…』





本当はこんなことしたくない。



今だって

奏が愛しくて…


温もりが恋しくて…




溢れそうな涙をこらえてる。




いや、もう流れてしまってるかもしれない。




唇を噛んで、必死で言葉をつなぐ。





『奏…、ごめんね。こんなあたしで…。わがままばっか言って』





奏は黙ったままだ。




それが、またあたしの心を揺さぶる。




いつも、意志の強そうな瞳なのに…


今日は、困ったような切なそうな瞳をしてた。




うぅん…今日だけじゃない…。



最近ずっと…そういう瞳をしてる。




それは、紛れもないあたしのせいだね。



あたしが奏を困らせてる。




あたしの扱い方に困って、ビクビクしながら触れてる。




奏は気づいてないかもしれないけど…あたしは分かるよ。




好きだからこそ



奏にそんな顔してほしくないの…。




あたしが隣にいたら、奏はどんどん壊れていきそうだから…




今は


手を…離さなきゃいけない。