君の隣





あたしは、涙でぐちゃぐちゃになった顔を上げて空を見た。





花火があまりにもきれいすぎて…



また涙が出た。




泣いてばっかり。



重いよね…。




奏は優しいから…あたしの傍にいてくれる。




でも、大切な人をもう壊したくないから…





あたしは、奏と距離を置くことを決めた。




いったん、奏の手を離して…


強くならなきゃいけない。




大切だから、大好きだから


幸せでいてほしいの。




奏への想いは一ミリたりとも変わらない。



むしろ、どんどん大きくなっていく。




困るほどに…苦しいほどに…


奏が愛しい。





『夢花…』





『ママも花火見てるのかな…?』




『見てるが。好きだったんだろ?』





『うん…。皆で花火大会行ったなぁ』





奏は無言であたしの手を強く握った。





『奏…。もういいよ。手を離していいよ』





『夢花…?』





『奏には、壊れてほしくない。悲しみはあたしだけが感じれば充分。奏にまで背負わせる訳にはいかない』





『夢花…、何言っとるが!?』





『少し、距離をおこう。今のあたしたちは隣にいちゃいけない。あたしが奏のコトを壊しちゃうから』





『夢花!俺は夢花の隣にいれることが幸せなんだが!壊れたりなんかしないが…!』





『あたしがダメなの。どうしても奏に寄っ掛かっちゃって…いつまでも強くなれない』





『寄っ掛かっていぃんだが!俺の前では弱くたって…』





『奏…!手を…離して』





『夢花……』




奏の声が震えてた。