君の隣





高くて、澄んだきれいな声。




空中で消えてしまいそうに、淡くて優しい感じ。





『あの……、奏くんの彼女さん?』






『ぇ…』





『あれ?違う…?』





『ぁ…そうです。一応、奏の彼女…です』





『やっぱり!ごめんなさい、いきなり…。

あたし、奏くんのクラスメイトの“佐伯 莉乃”(さえき りの)。

奏くんには、東京にかわいい彼女がおるって聞いてたけん。

噂どおり、かわいぃゎ。


名前、何て言うん?』





その声に似合わないほど、島根のなまりがきいていた。




でも、それが逆に話しやすかった。





『夢花。夢に花って書いてゆめか』





『素敵な名前だが。似合っとる。夢ちゃんって呼んでいぃ…?』





『ぜんぜん、いぃよ!』





『あたしは、莉乃って呼んで』





『分かった』




莉乃が天使みたいな笑顔で笑った。





その時、ガチャッと音がして玄関のドアが開いて奏が出てきた。





『ぁ…、奏くん』





莉乃の瞳が少しだけ、変わった気がした。




それだけで…分かってしまった。



莉乃は、奏に恋してる。




みいが言ってたのは、莉乃のコトなのかもしれない…。