あたしは奏ママが座っている真ん前の椅子に座った。
『夢花ちゃん… ママのコト大丈夫なの?』
あたしは何も言わないで俯いた。
言葉を発したら弱い自分が出てしまう気がした。
『辛かったら辛いって言っていいの。泣きたかったら泣いていいの。夢花ちゃんが1人で抱え込んでいい問題じゃない』
奏ママの言葉で
心にはりつめていた糸が
プツリと切れた気がした。
心の奥にしまっていた感情。
口に出したら何かが崩れてしまう気がした。
あたしがしっかりしなくちゃ…
ずっと、自分に言い聞かせてきた。
泣き叫ぶママの声が
耳にこだます。
こんなママ見たくない…
目の前で家族が壊れていく…
幸せが消えていく…
あたしの居場所が消えていく…
そんな光景を
ずっと1人で見てきた。

