真夏の体育館。
校長の話がやたらと長く感じる。
うるさいほどのセミの声が降り注いで、夏を感じさせた。
『気を付け、礼』
終業式がその言葉とともに終了した。
皆が背伸びを始める。
明日から、夏休み。
1年に1回の大イベント。
皆の気持ちは、もう夏休みの方を向いていた。
もちろん、あたしも。
明後日には、もう東京を発つ。
久しぶりの島根。
東京とは違って、田舎だけど。
空気がよくて、居心地のいい場所。
あたしの大切な場所。
色々考えてたら、いつの間にか隣に華がいた。
『夢〜!夏休みに海行こうって言われちゃった〜!』
相変わらずのテンションだ、この暑いのに。
『水着は、青がいいか、ピンクがいいか、どっちがいいと思う〜?』
『ピンクで勝負すれば…?』
あたしはサラッとあたしにとってはどうでもいい質問を流した。
『やっぱ、そう思う〜?じゃぁ、ピンクに決定!夢もがんばれ!!』
何をだよ…?と言う質問はめんどくさいのでやめておいた。
『はいはい』
『お互い夏、楽しもー!』
とびきりの笑顔でそう言って、華はどこかに行ってしまった。
家に帰って、奏に電話をかけた。

