季節は…


夏を迎える。




奏と離れて、4ヶ月程がたった。



思いは…1ミリたりとも変わらない。



東京と島根の距離も1ミリたりとも縮まらない。




夏休みは、島根に遊びに行くコトにした。





玲音もそうするみたいで、久しぶりに皆で遊べると思うと心が弾んだ。





『夢!夏休みはいつから島根に帰るの!?』




華が、大きな瞳をまんまるくして聞いてきた。


なんだか、吸い込まれてしまいそうだ…。




『すぐ行くよ。もう準備万端』




『久しぶりに彼氏に会えるんだもんね〜! 遠距離か〜、あたしには無理だな〜』





確かに、無理そうだと思った。




『いいじゃん、すぐ近くに彼氏がいるんだから』




そう言って、あたしは1人の男の子を見た。



同じクラスの、健(たける)くん。



華の彼氏だ。



中学時代から付き合ってる。




よく喧嘩してるけど、お互いを必要としていて、いい関係に見える。




『遠距離なんて、不安になって死んじゃいそうだな…』




華がさりげなく言った。




不安じゃないって言ったら、嘘になる。




でも、どうしようもない感情だということをあたしが1番よく知ってる。




今のあたしたちの心は、寄り添っているのだろうか…?




2人の距離が違うだけで、こんなにも不安になってしまう。





奏に会える…。



会いたくて会いたくて仕方なかった愛しい人に…会えるんだ。