『はい、もしもし』
“もしもし、夢花…?”
『うん、どうした?』
“いや、なんとなくさ…。
奏がいなくても、元気にやってるのかな?って”
『慣れてきちゃった。
奏に会えないのは寂しいけどさ…。
あたしが信じなきゃ…。
離れてても大丈夫だって』
“そっか、ならいいんだ。
心配になっちゃってさ…。
高校近いんだから、今度会おうぜ!じゃぁな”
『うん、バイバイ』
玲音は相変わらず優しかった。
東京に来たあたしにとっては、心強い存在だったし、玲音にはたくさん助けられた。
あの頃は玲音の気持ちなんて、全く気付いていなかった。
あたしへと向けられた、小さな感情に気付けなかったんだ…。
誰かが幸せになる時は
どこかで誰かが傷ついていて…。
あたしは知らない間に、人を傷つけていた。
恋とか、愛とか…
複雑な感情が入り交じってしまえば関係は崩れていく。
君は、どれ程傷ついていたのだろうか…?
幼かったあたしは
何も気付けない。
大切な物を
傷つけていたコトに…

