あっという間に、奏は見えなくなった。
こらえていた涙が…、気持ちが一気に溢れ出した。
開けっ放しの窓から、風が入ってくる。
あたしは、崩れるように泣いた。
『奏…、そ…ぅ… うぅ… ぅう…』
どれだけ名前を呼んでも、何が変わるわけでもないのに…。
お母さんを探す小さな子どもみたいに、奏の名前を呼び続けた。
君のいない日常なんて…色も輝きも何もない。
それくらい、あたしにとって必要な存在。
窓の外の景色が見慣れない物になっていく。
奏を遠くに感じてしまうのが嫌で、あたしはギュッと目を閉じた。
15歳… 春…
当たり前の日々に別れを告げて…
苦く、切なく、寂しい気持ちを知った。
大丈夫―。
その言葉を…
ただ、信じるコトしかできなかった…。
そんな小さな約束は
簡単に消えてしまうことなんて知らない、幼かったあたし…。

