後日―
あたしは、大と玲音にも話した。
2人はあたしの決断に賛成してくれた。
中学の間だけ…。
残された時間は1年…。
その間だけは皆のそばにいたい。
たったの1年。
けれど、大きな、大切な1年。
あたしは、大切な人たちとこの1年を過ごしていく。
1年後、あたしは何を思って、東京に発つのだろう…?
ここで過ごした日々は密度が濃すぎて、あたしの心の中に深く残るだろう…。
ママが死んだ場所…。
あたしたちのいつもの場所…。
当たり前だったその景色も当たり前に見れなくなるんだ。
ここで過ごした日々は
過去になっていくんだ…。
若い頃の想い出に変換されていくんだ。
でも、あたしは過去にしたくないと思う。
かけがえのないこの時間を…。
大切なこの時を…。
過去にして忘れたくはないと強く願った。
1年なんて、光のように過ぎていって…
季節は3月を向かえた。
あたしは、何とか東京の高校に合格した。
残された日々は、あとわずか…。
大切な人のそばにいれるのも、あとわずか…。
時が止まればいいのに…
何度、そう願ったんだろう…?
君が笑うたび、触れるたび…
締め付けられる胸が痛い。
ずっと、このままでいれたらどんなにいいかと…
何度、願ったのだろうか…

