帰り道。


あたしは地下鉄に揺られながら、窓ガラスに映る自分を見つめ、奈美との会話を思い返していた。


「もっと早くに未来に打ち明ければ良かったな」


最後に奈美は、そう言って笑った。


あたしは答えた、「ううん、仕方ないよ」、と。


幸せな恋愛なら、話すのは簡単な事で。


正しいとか正しくないとか、恋愛に定義なんてないけれど。


素直に話せない事は、誰にだってあると思うから。


そう、あたしにも。


奈美はこうも言った。


「人って変わるもんやな」、と。


「そんな事…」


そう言いかけて、あたしは次の言葉が、見つからなかったんだ。


奈美と先輩。


そして、あたしと哲平。


そして、周りの友達も。


少しずつ、変わってしまったから…


でも、どれだけ環境や状況が変わったって。


変わらないものもあると、あたしは信じたいけれど。